道を歩けば、たくさんの自動販売機を目にします。自動販売機の市場規模は5兆円で、設置台数は全国で430万台以上。コンビニの市場規模が10兆円ですので、いかに巨大な市場であるかが分かりますね。
さてこの自動販売機、「空いている土地があるから、自分もビジネスとして取り組んでみようかな」と考えている方も少なくないはず。自動販売機は、時間帯を問わず、無人で商品を販売できるため、ほぼ不労所得になります。そのため、サラリーマンの副業として行っていくことも、複数のビジネスと同時並行で行っていくこともできます。
ここでは、自動販売機ビジネスの運営方法、コスト、メリット・デメリット、成功させるためのポイントなどをご紹介していきます。
自動販売機ビジネスの概要
自動販売機ビジネスとは
自動販売機ビジネスとは、自身が所有する土地や借りた土地などに自動販売機を設置して収益を得るビジネスのことをいいます。
販売する物は、飲料、煙草、パン、カップラーメン、お菓子、フルーツ、アイスクリーム、雑誌など、その種類は多岐にわたります。最も一般的なのは、ご存じの通り、飲料ですね。本記事では、主に飲料の自動販売機について述べていきます。
自動販売機ビジネスは、同じ「物を販売する」という意味で、コンビニやスーパーなどと比較されることが多いです。また、集合住宅、駐車場、トランクルーム、コインランドリーなど、土地活用ビジネスの一種として扱われることも少なくありません。
ちなみに、日本は「自動販売機大国」と呼ばれることがあります。もちろん、海外にも自動販売機はありますが、どこに行っても自動販売機があるというのは、日本独自のもので、その背景には、日本の技術力の高さと治安の良さがあると言われています。
自動販売機ビジネスとコンビニ・スーパーの棲み分け
「自動販売機って、コンビニやスーパーなんかと競合しないの?」 このような声がよくあります。しかし、自動販売機には、下記のようにコンビニやスーパーにはないメリットがあります。
- 並ばなくても購入できる
- 他人に商品内容を知られることなく購入できる
- 服が汚れていても購入できる
- 汗まみれでも購入できる
- 自転車に乗ったままでも購入できる
もちろん、全く競合しないわけではありませんが、特別心配する必要もありません。ちなみに、この日本において、飲料の売上の45%は自動販売機によるものです。
自動販売機ビジネスと他のビジネスの組み合わせ
自動販売機ビジネスは、集合住宅、駐車場、トランクルーム、コインランドリーなど、他の土地活用ビジネスと組み合わせることもできます。
たとえば、集合住宅に自動販売機があると、居住者たちが買い物の手間を省くことができます。また、トランクルームやコインランドリーなどに自動販売機があると、利用者が作業で疲れたときなどにその場で一服することができます。
自動販売機ビジネスを行っていく上で必要となるもの
自動販売機ビジネスを行っていくには、当然のことながら、自動販売機本体が必要となります。
「自動販売機本体ってどれくらいの費用がかかるの?」 本記事を読んでいる方の中には、このように気になっている方が少なくないでしょう。
自動販売機本体の価格は、容量や機能などによって変わってきますが、一般的には、新品であれば60万円~80万円程度、中古品であれば15万円~30万円程度。また、購入ではなくリースの場合、一般的には、月々5,000円から10,000円程度です。
また、自動販売機には電気が必要になりますね。自動販売機の電気代は、月々2,000~4,000円程度です。自動販売機を設置したい場所にコンセントがない場合は、電気工事屋さんなどに依頼して、作ってもらう必要があります。
なお、自動販売機本体が使用できる期間、つまり寿命は、大体10年ほどと言われています。
自動販売機ビジネスの2つの経営方式
自動販売機ビジネスの経営方式には、土地だけを貸す「フルオペレーション」と、自分で運営する「セミオペレーション」の2種類があります。それぞれ業務範囲やコストなどが異なります。詳しく見ていきましょう。
【フルオペレーションとは】
フルオペレーションとは、自分は土地を貸すのみで、オペレーター(自動販売機の運営や管理を専門に行う会社)に、自動販売機に関わる全ての業務を行ってもらう経営方式のことです。
自動販売機に関わる業務の例:
・自動販売機の設置
・商品の補充
・売上金や釣銭の管理
・定期点検
・メンテナンス
・空缶や空ペットボトルの回収
フルオペレーションでは、自身で自動販売機を購入・リースする必要はありません。基本的には、オペレーターの方で用意・設置してくれます。費用としてかかるのは電気代のみです。
マージンは売上本数で決まり、その額は、1本あたり15%~20%程度です。
なお、フルオペレーションでビジネスをスタートさせようとする際、まず、オペレーターによって、立地、競合、通行人の属性などについてのリサーチが行われます。そこで、「見込みあり」と判断された場合のみ、この方式で行っていくことができます。
【セミオペレーションとは】
セミオペレーションとは、オペレーターから自動販売機を購入もしくはリースし、自動販売機に関わる全ての業務を自分自身で行う経営方式のことです。
フルオペレーションでは、自動販売機本体にかかる費用も電気代も自分持ちになります。
マージンは、仕入れ価格と販売価格で決まります。
具体的な数字でいうと、
- カンの場合、卸問屋で40~70円で仕入れて100~120円で販売
- ペットボトルの場合、卸問屋で50~80円で仕入れて、120~150円で販売
というイメージです。セミオペレーションの場合、すべての業務を自分で行う分、1本あたりのマージンは大きくなりますが、うまく経営できなければ大赤字を抱えてしまうリスクもあります。
自動販売機ビジネスの収益計算例
自動販売機ビジネスを行うと、どれだけの収益になるのでしょうか。フルオペレーションの場合とセミオペレーション場合、それぞれにおいて、1ヶ月あたりの収益を計算してみましょう。
<計算条件>
・販売価格 120円/本
・売上本数 500本/月
・電気代 3,000円/月
・フルオペレーションのマージンの割合 20%
・セミオペレーションの仕入価格 50円/本
・セミオペレーションの自動販売機リース代 10,000円/月
フルオペレーションの場合:
販売価格×売上本数×マージンの割合-電気代
→ 120円/本×500本×20%-3,000円=9,000円
セミオペレーションの場合:
(販売価格-仕入価格)×売上本数-自動販売機リース代-電気代
→ (120円-50円)/本×500本-10,000円-3,000円=22,000円
イメージが湧きましたでしょうか。自動販売機ビジネスの収益計算は、コンビニやスーパーと比べても、他の土地活用ビジネスと比べても、ずっと簡単です。
自動販売機ビジネスのメリットとデメリット
自動販売機ビジネスには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
自動販売機ビジネスのメリット
自動販売機ビジネスのメリットを5つ紹介していきます。
【自動販売機ビジネスのメリット1:管理・運用が簡便】
自動販売機は、24時間365日、雨の人で風の日でも、無人で働いてくれるため、管理・運用が簡便です。
また、自動販売機で扱うカン・ペットボトルなどは、「どれも形が似ている」「手のひらサイズ」「壊れにくい」などといった特徴があるため扱いがしやく、そういう意味でも管理・運用が簡便と言えるでしょう。自動販売機ビジネスは、一度流れに乗ると、「こちらにも自動販売機」「あちらにも自動販売機」といったように、どんどんビジネスを拡大していくことができます。
【自動販売機ビジネスのメリット2:狭い土地でも問題ない】
所有している土地があまりに狭いことから、「どのように土地活用をしたらよいものか」と悩んでいる不動産オーナーはとても多いです。
土地が狭ければ、集合住宅、トランクルーム、コインランドリーなどは難しいでしょう。一方で、自動販売機の場合、特に広い土地が必要になるわけではありません。一般的なサイズの自動販売機の場合、幅100cm、奥行き70cmほどのスペースがあれば、問題なく設置することができます。
【自動販売機ビジネスのメリット3:移転しやすい】
通常の店舗で物を販売する場合、ある場所で、「思ったようにうまくいかないな…」となってしまった場合でも、簡単に移転することができません。移転しようと思えば、多くのコストが必要となります。だからこそ、事前にしっかりとした立地についてのリサーチを行わなければなりませんし、決断力というものも必要となります。
しかし、自動販売機で物を販売する場合は、そこまで難しく捉える必要はありません。自動販売機を移転しようとする際、その費用は1万円から2万円程度です。もちろん、無駄な費用が発生しないに越したことはありませんが、通常の店舗と比べたら移転がしやすく、それだけ「プレッシャーが少ない」「チャレンジしやすい」と言えるでしょう。
【自動販売機ビジネスのメリット4:集客力がアップする】
既に、飲食店、小売店、美容室、治療院など、自分の店舗を構えている方にとっては、集客力のアップを期待できます。
「よし、何か飲み物を買おう!」と思ったお客様がいたとします。自分のところの自動販売機まで来てくれたとき、ふと店舗の看板が目に入れば、その存在を認識してしてくれることもあるでしょう。そのまま入店してくれることも、後日に何かのきっかけで思い出してもらえることも期待できます。
【自動販売機ビジネスのメリット5:災害時に役立つ】
ライフラインが寸断されてしまうような災害が起きたとき、一番困った問題となりやすいのが、水分補給に関することです。「近くに自動販売機があれば」。災害時にこう思ったことがある方も少なくないはず。自動販売機ビジネスは災害対策にもなります。
自動販売機ビジネスのデメリット
自動販売機ビジネスのデメリットを4つ紹介していきます。
【自動販売機ビジネスのデメリット1:ゴミ被害】
自動販売機ビジネスを行っていく上で、最も気を付けたいのが、ゴミ被害です。
- 空缶がゴミ箱周りに散乱する
- 弁当ゴミなど外部からのゴミが集まってくる
- ゴミ箱がひっくり返る
- 煙草をポイ捨てされる(空き缶入れに缶やペットボトル以外のゴミが捨てられる)
自動販売機を設置していると、このようなことが起こります。店舗であれば美観を損ねてしまうこともあるでしょう。近所の方からクレームが来ることがあります。
【自動販売機ビジネスのデメリット2:騒音被害】
自動販売機は、普段は静かですが、補充時には、どうしても「ガシャン、ガシャン」という音がしてしまいます。
ゴミ被害ほどではありませんが、これについても近所の方からクレームが来ることがあります。住宅地など閑静な環境であれば深夜の補充は避ける、などといった対応が必要となることもあるでしょう。
【自動販売機ビジネスのデメリット3:いたずら被害】
自動販売機は、無人だけに、いたずらをされることがあります。
たとえば、
- 壊される
- 落書きをされる
- お金を盗まれる
- 取り出し口に物を詰め込まれる
など。あまりにひどい場合は、防犯カメラの設置などといった対策も必要となります。
【自動販売機ビジネスのデメリット4:環境の変化に弱い】
自動販売機ビジネスは周辺環境の変化に弱いです。
たとえば、近所に新しい自動販売機ができる、コンビニやスーパーが新規開店する、道路工事の影響で人通りが変わる、などといったことから収益が激減してしまうことがあります。周辺環境というものは、自分ではコントロールできませんよね。「周辺環境の変化により、やむを得ず撤退することになった」。自動販売機ビジネスの世界で、このような話は珍しくありません。
自動販売機ビジネスに向いている場所
当然のことながら、自動販売機は人に利用してもらわなくては意味がありません。ほとんど人がいないようなエリアに自動販売機を設置しても、収益は得られないでしょう。自動販売機ビジネスでは、立地というものがビジネスの成否を左右します。
自動販売機に適しているのは、下記のように「人通りのある場所」です。
- 駅前
- 商店街
- オフィス街や工場地帯など多くの人が働く場所
- 駅から役場、学校、病院、人気スポットなどまでの道
- ウォーキングコースやサイクリングコース
注意を払いたいのが、「車通りのある場所」ではなく、あくまでも「人通りのある場所」という点です。車の運転中わざわざ車を停めて自動販売機を利用しようとする方はそれほど多くはありません。
自動販売機ビジネスを成功させるためのポイント
せっかくビジネスを行うなら、成功させたいですよね。自動販売機ビジネスを成功させるためのポイントを3つご紹介します。
【自動販売機ビジネスを成功させるためのポイント1:商品ラインナップ】
まず考えたいのが、商品のラインナップです。基本的には、「自動販売機を設置するエリアにどんな方々が多くいるか、その方々はどんな飲料を飲もうとするか」、ここがポイントになります。
たとえば、
- ランチをする方が多ければお茶
- タバコを吸う方が多ければコーヒー
- 運動する方が多ければスポーツ飲料
など。もちろん、商品のラインナップは変更が可能です。売れ行きを見ながら、随時変更していってもよいでしょう。
【自動販売機ビジネスを成功させるためのポイント2:差別化】
商品のラインナップの次に考えたいのが、差別化です。自動販売機ビジネスにおいて、差別化できるところとしては、主に下記のようなものがあります。
- 電子マネー対応の自動販売機にする
- 外国語対応の自動販売機にする
- 抽選機能付きの自動販売機にする
- あえて滅多に見ることがない珍しい商品を扱う
- 「賞味期限が迫っている商品」「売れ残った季節限定商品」などワケあり商品を低価格で販売する
【自動販売機ビジネスを成功させるためのポイント3:機会損失を最小限に】
あなたが、「よし、何か飲み物を買おう!」と思って自動販売機の前まで行ってみたとします。
そこで、もし欲しい商品が「在庫切れ」だったらどう思いますか? 残念に思いますよね。また、欲しい商品があったとしても、「釣銭切れ」で販売できない状態だったらどう思いますか? これもまた残念に思いますよね。自動販売機ビジネスを成功させるためには、このような機会損失を最小限にできるよう、努める必要があります。あまりに「在庫切れ」「釣銭切れ」が多いと、「あそこに行っても無駄だからもう行かない」なんて思われてしまうこともあります。
また、自動販売機は見た目も大事です。自動販売機は、雨風にさらされるため、外観が徐々に劣化していきます。売る商品に変わりはないとはいえ、買う側からすれば、塗装が剥げていたり色がくすんでいたりすると、ネガティブ印象を抱いてしまうこともあるかもしれません。
機会損失を避けるためには、自動販売機の劣化を遅らせる工夫をする、劣化した部分を補修する、などといった対応が必要となることもあるでしょう。
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