最近、街を歩いても、ショッピングセンターに買い物に行っても、居酒屋で飲み会をしても、電子ポスター(デジタルサイネージ)を目にすることが多くなりましたね。
これだけ広がっているということは、電子ポスターを導入して成果が上がっているからでしょう。
でも、紙のポスターと電子ポスターでは何が違うのでしょうか?
電子ポスターを導入するのは何のため?
「電子ポスターを導入するのってお金かかりそうだし…」
「うまく使いこなせるかどうかわからないし…」
「電子ポスターを導入したところで本当に売上が上がるかわからないし…」
「メンテナンスとか面倒くさそう…」
もしかしたらこんな風に感じている人も多いかもしれませんね。
この記事では、下記のことについてお伝えします。
ただ、その前に、ひとつ確認しておかなければならないことがあります。
電子ポスターに限らず、紙のポスターでもそうですが、そのポスターは何のために作って、何のために掲示するのでしょうか?
もちろん、「売上を上げるため」ですよね。
電子ポスター成功の鍵は「ターゲット分析」と「最適なコンテンツ配信」
当たり前のことなんですが、電子ポスター(デジタルサイネージ)のようなデジタルツールを導入しようとするとき、多くの方が、「導入することが目的」になってしまいがちです。
なんかすごそうなツールなので、これを導入するだけで売上が上がってしまいそうな気になってしまう…。
でも、冷静に考えてみればわかる通り、電子ポスターを導入したからといって、それだけで売上が上がるはずはありません。
電子ポスターを使って売上を上げるためには、どのようなコンテンツ(ポスターでお知らせする内容)をどのような人に届けるかということが明確になっていなければなりません。
導入することが目的化してしまっては、使ってはみたものの、「なんだ、全然効果ないじゃないか!!」ということになってしまいます。
こんなことにならないように、電子ポスターは戦略的に使い、効果のある戦術を見つけていきましょう!
電子ポスターって本当に効果があるのか?どんな事例があるのか?
まずは事例から見ていきましょう。
電子ポスターといっても、使われ方は様々です。この記事では主に売上を上げるために広告目的で使う場合についてお伝えしますが、そのほかにも様々なシーンで電子ポスターは使われています。
活用シーン1:公共・交通施設において案内掲示板として活用
駅の中でよく見かける電子ポスターですね。
活用シーン2:スタジアム、アリーナ、コンサート会場などでの演出
会場を盛り上げるための演出に使われることもあります。
・店舗・ショールームでの販売促進
・飲食店でのメニュー表示
・教育機関での授業
・病院での待ち時間表示
・オフィスでの会議・コミュニケーションツール
このように、さまざまな場所で電子ポスターを目にするようになりました。
矢野経済研究所が行なった調査によると、2016年度の電子ポスター(デジタルサイネージ)の国内市場規模は前年度比116.2%の1487億7500万円だったようです。
これが2020年には3361億円まで市場の拡大が続くと予想されていますが、本当に効果はあるのでしょうか。
電子ポスターの成功事例「3選」
電子ポスター導入の効果については、少し古い資料になってしまいますが、「デジタルサイネージ戦略 電子看板最前線」仲村伊知哉 石戸菜々子 著という2010年に刊行された書籍の中でさまざまな効果が紹介されています
その中で次のような効果が紹介されています。
成功事例1:商店街
電子ポスターを導入した商店街では、駅前におかれた電子ポスターで各店舗のクーポンを発行することにしました。
当初は30店舗からスタートした試みですが、最終的には200店舗が参加するようになります。
その電子ポスターはタッチパネル式になっていて、ユーザーが自分が利用するお店のクーポンを自分で発行できるようになっていました。
タッチパネル式なので、どれくらいタッチされたか(クーポンが発行されたか)がわかります。
当時の実績で月に1万数千回の利用があったようです。参加店舗数が増えていることから見ても、効果があったのだろうと思われます。
成功事例2:スーパー
あるスーパーではレジ前に電子ポスターを設置し、お菓子などの嗜好品の広告をしたところ、ある商品は電子ポスターの設置により売上が5倍になったようです。
成功事例3:フィットネスクラブ
フィットネスクラブ内で電子ポスターを設置し、インストラクターがある飲料のCMを宣伝したところ、クラブ会員の3割以上の人がその飲料を購入したそうです。
このように、電子ポスターは使い方次第で、確実に効果を上げることができるのです。
そもそも電子ポスターってどんな仕組みなのか?
使い方次第で大きな効果を上げることのできる電子ポスターですが、仕組みはどのようになっているのでしょうか。
ここでは電子ポスターの仕組みについて簡単に説明します。
電子ポスター(デジタルサイネージ)とは、従来の看板や紙のポスターではなく、液晶ディスプレイやLEDを用いた映像表示装置などのデジタル映像機器を使い情報を発信するシステムのこと。
この仕組みは大きく2つに分かれます。
・スタンドアローンタイプ
・ネットワーク配信タイプ
この2つです。
種類1:タンドアローンタイプ
スタンドアローンタイプはいわばテレビとDVDプレイヤーの関係と同じ。
PCで作成したコンテンツを、USBメモリーなどに保存し、ディスプレイ内蔵あるいは外部接続したメディアプレイヤー(STB)で再生するパターンです。
手軽にはじめられるというメリットがある一方で、複数の電子ポスターがある場合は、ひとつひとつデータを差し替えていかなければならないというデメリットがあります。
種類2:ネットワーク配信タイプ
もうひとつのネットワーク配信タイプは、インターネット回線を利用してコンテンツを配信するパターン。
ひとつのPCから複数の(何百台あっても)電子ポスターに一瞬でコンテンツを配信できるメリットがあります。
どれくらいの規模で電子ポスターを利用するのかによって、使い方は変わってきますが、電子ポスターのメリットを最大限生かせるのはネットワーク配信タイプですね。
紙のポスターと比べたときのメリット・デメリットは?
紙のポスターだって十分効果はある!電子ポスターなんて必要ない!と考える方もいらっしゃるでしょうが、電子ポスターには紙のポスターにはないメリットがあります(もちろんデメリットもありますが)。
ここでは電子ポスターのメリット・デメリットについてお伝えします。
電子ポスターの「4つのデメリット」
まずはデメリットから。
デメリット1:紙のポスターに比べて初期費用が高い
紙のポスター100枚と電子ポスター100セットでは当然電子ポスターのほうが初期費用はかかるのはご想像の通りです。
デメリット2:電気代がかかる
紙のポスターでは電気代がかかることはありませんが、電子ポスターでは電気代がかかります。さらに電気の供給できない場所には掲示することができません。
デメリット3:運用設計が大変
これはデメリットでもあり、メリットでもあるのですが、電子ポスターは瞬時に表示する情報を変更できるため、どんなコンテンツを流すかという計画を立てることが必要です。
これを手間と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
デメリット4:メンテナンスが大変
屋外に設置する場合、設置場所によっては、雨風や直射日光などの外的要因から内部にトラブルが起こることもあります。
このようなデメリットはあるのですが、電子ポスターにはこれらを超えるメリットがあります。
電子ポスターの「3つのメリット」
続いては、電子ポスターのメリットについて解説します。
メリット1:人目につきやすい
従来の看板やポスターとは違い、動画や音声(または音楽)で人の目を引きつけることができます。
屋外でも屋内でも、紙のポスターに比べて、圧倒的に人目をひくことができます。
メリット2:タイムリーに情報の変更ができる
これがおそらく電子ポスターの最大のメリットであると思いますが、モニターに表示する内容を一瞬で変更することができます。
時間やその日の天気に合わせてタイムリーにモニターに表示する情報を変更できるのです。
例えばスーパーの店内で電子ポスターを使うとしましょう。
もちろん立地によっても異なりますが、朝など比較的早い時間は年配者の来店が多く、お昼から夕方にかけては主婦、夕方から夜にかけては会社員というパターンが多いのではないでしょうか。
そうではない場合も、時間によって客層が変わることは確かでしょう。
それぞれ興味がある物、欲しい物は異なりますのが、電子ポスターであれば、来店するターゲットに合わせて表示内容を変更することで、客層とおすすめ商品をマッチングさえることが簡単にできるようになります。
また季節やその日の天気によっても変更することができます。寒い季節は鍋など温かいものを提案する、雨の日のタイムセールを告知するなど、気温や天候の変化による告知も可能です。
メリット3:コンテンツ更新コストが安い
100店舗にポスターを掲示すれば、内容を変更するには新たにデザインして、印刷し、今までのポスターをはがして、新しいポスターを貼ることが必要です。
デザインコスト、印刷コスト、貼り替えのための人件費、時間コスト、これらが毎回必要になります。
そんなに厳密に計算する必要もなく、直感的に、電子ポスターの情報を変更するのと、紙のポスターを変更するのでは、どちらが変更にかかるコストがかかるかは自明です。
このように電子ポスターにはデメリットを上回るメリットが存在しています。
だからこそ、街中や店舗内に電子ポスターがどんどん増えているのではないでしょうか。
電子ポスターを使って売上を上げるためにはどうすればいいか?
電子ポスターを導入する目的は様々でしょう。
売上を上げるための宣伝に使いたい、店舗やホテルで案内用インフォメーションとして使いたい、イベントを盛り上げる演出用に使いたい、などなど。
目的は様々ですが、中でも多いと思われる「売上を上げる」ために電子ポスターはどのように使えばよいのかということについて考えていきましょう。
売上を上げたいというのは、どんな会社でも同じはず。
売上を上げるためのアイディアを出すため会議やミーティングをする会社も多いでしょう。
電子ポスターで売上を伸ばす「5つの方法」
しかし、ただ「売上を上げるためにはどうすればよいか?」という漠然とした問いではアイディアはなかなか出てきません。売上を上げるためのアイディアを出しやすくするには、売上が何からできているか分解して考えることです。
みなさん、ご承知の通り「売上=客数×客単価」です。
これをもう少し分解すると
客数=既存顧客+新規顧客−流出顧客
客単価=利用頻度×買い上げ点数×商品単価
こうなります。
この公式から導き出されることは売上を上げる方法は次の5つしかないということです。
・新規顧客を増やす
・流出顧客を減らす
・利用頻度を増やす
・商品単価を上げる
・買い上げ点数を増やす
これらそれぞれのシーンで電子ポスターはどのように活用できるでしょうか?
方法1:新規顧客を増やすためには?
店外に電子ポスターを設置して、店前を通行する人にお店の存在をアピールすることが必要ですね。お店の存在を知らない人に、お店に気づいてもらい、一度行ってみようかと思ってもらうにはどのような情報を流せば効果がありそうですか?
業種・業態によって違うでしょうが、例えば飲食店であればランチタイムサービス、ドリンクサービス、デザートサービス、ご飯おかわり無料…。一度でも利用してもらわないことにはあなたのお店の価値を体験してもらうことはできません。新規顧客を獲得するには、利用する(来店する)ためのハードルを下げるのもひとつの方法でしょう。安売りは良くありませんが、お試し価格というのはひとつの考え方だと思います。このようなサービスを映像を使ってアピールすることで、紙のポスターよりも効果を期待できるのではないでしょうか。
方法2:流出顧客を減らすには?
顧客が流出する原因の典型的なものは、接客が気に入らなかった、サービスが気に入らなかった、近隣にライバル店ができたというものでしょう。
流出顧客を減らす戦略は顧客とのコミュニケーションの回数を増やし、密度を高めることになりますので、この部分を電子ポスターを使って・・・というのは難しそうですね。
方法3:利用頻度を増やす
いわゆるリピーターを増やすということです。
リピートしてもらうには接客やサービスの質を高めて、サプライズ的な感動を与えなければなどと考えてしまいがちです。
しかし、そんな大げさなことを考えなくてもリピートを増やすことは可能です。
もちろん、商品やサービス、接客は顧客に満足してもらえるレベルでなくてはなりませんが、逆にいうと不満を与えないレベルでも構いません。
リピートしてくれない最大の原因はあなたのお店が「忘れられている」ことです。
自分自身のことを考えても、例えばはじめて入った飲食店で「ここ、割とおいしいな」と感じたとしても、そのまま行くことなく忘れてしまっていたというお店があるのではないでしょうか。
食事に行こうと思ったときに、あなたの頭の中にはいくつかの候補が浮かびます。
その中から、今日は中華が食べたいから、あのお店にしようという感じでしょう。
その候補はおそらく3~4店くらいではないでしょうか。
ラーメンでも和食でも洋食でも頭の中に思い浮かぶ店舗候補は同じくらいのはず。
つまり、頭の中に浮かぶ候補店舗の中に入ることができれば、リピートしてもらえる確率は高まります。
では、どうやって思い出してもらうか?
どうやって頭の中の店舗リストに入るか?最も効果的なのは、ここでもやはり顧客とのコミュニケーションの密度です。
コミュニケーションの回数を増やし、密度を高めるには時間がかかります。
しかし、「思い出してもらいやすくする」ということに関していえば、電子ポスターは効果を発揮するかもしれません。
例えば、キャンペーンの案内をすることによって、「ん?来月からこんなキャンペーンがあるのか」と見てくれる人もいるでしょう。
マクドナルドでよくやっているやつですね。
「〇月△日~ 〇〇バーガー復活!!」みたいな告知です。
これを見て、「よし、絶対来るぞ!」と思う人は少ないかもしれませんが、その情報は頭の片隅に残っています。
それがあることによって、思い出してもらいやすくなるのではないでしょうか。
このように定期的にキャンペーンやイベント情報、サービスの情報を提供していくことで、何もしないより、お店のことを思い出してもらいやすくすることはできるようになるでしょう。
方法4:商品単価を上げる
言うまでもなく、日本は人口が減少していく国なので、大きな流れを考えると、売上を上げるために客数を増やすというのは難しくなっていきます。
しかし売上は客単価を上げることによっても増やすことができます。
客単価を上げるには、「商品単価を上げる」か「買い上げ点数を増やす」ことが必要です。
まずは、「商品単価を上げる」ために電子ポスターができることを考えてみましょう。
商品単価を上げるというと「値上げ」と考える方も多いですが、それだけではありません。
700円の定食を注文する方に、1000円の定食を注文しようかなと思ってもらえるようにすることでも商品単価は上がります。
人は心理的に真ん中の値段を選びやすいというものがあるのはご存知でしょう。
これを利用すれば、700円、1,000円、1,500円の3パターンの定食メニューを用意すれば、700円から1,000円に流れる人も増えるかもしれません。
最近ではオーダーするのをテーブルに備え付けてあるタッチパネルでする店舗も増えてきていますが、メニューを選ぶときに、それぞれのメニューの違いがビジュアル的に説明されるとわかりやすいですね。
このタッチパネルも電子ポスターの一種ですから、商品単価を上げることにも電子ポスターは有効でしょう。
方法5:買い上げ点数を増やす
次に客単価を上げる方法として「買い上げ点数を増やす」ことがあげられます。
かっこよく言えば、クロスセルってやつですね。
スーパーでレジ待ちをしているときに、レジ前に置いてあるお菓子などをつい買ってしまったという方も多いでしょう。
飲食店であれば、ついでの一品を紹介することで買い上げ点数の増加につながりますし、食品スーパーであれば、電子ポスターでレシピ動画を流したりして食材の紹介をすれば、ついで買いが増える可能性はあるでしょう。
ここでも電子ポスターを活用することはできそうです。
まとめ
このように、電子ポスターは「目立ちやすい」「情報量が豊富」「タイムリーに変更できる」という特性があり、長い目で見ると紙のポスターよりもコストダウンにつながる可能性すらあります。
売上を上げるという目的を達成するのにも電子ポスターは有効です。興味はあるけど、迷っているという方は、一度信頼できそうな業者に相談してみるのもいいのではないでしょうか。