ウェルカムボードデジタルサイネージ

日本のデジタルサイネージ動向を考察

日本のデジタルサイネージ、現在の動向とは?

デジタルサイネージは電子看板とも呼ばれます。当初は広告看板やポスターの代わりに導入が進み、2023年の東京オリンピック前は都市整備(インバウンド対策)の一環として設置が急増していきました。時代とともに技術が進歩している今、デジタルサイネージに求めるニーズは多様化してきました。現在の日本国内デジタルサイネージの動向を考察してみます。

日本におけるデジタルサイネージの主な用途

地下街の液晶マルチディスプレイ

デジタルサイネージの役割は「広告(ブランディング)・情報提供・情報共有・空間演出(エンターテイメント)」など様々です。現在の日本のデジタルサイネージは、どのような目的で設置されているのでしょう?役割別に解説します。

広告やブランディング目的のデジタルサイネージ

道頓堀のLEDビジョン

日本で最も多いデジタルサイネージの活用法が、広告やブランディング目的のものでしょう。販促や認知度獲得のための看板、ポスターを電子化して明るく見えやすくしたもので、動画やスライドでコンテンツに動きを持たせます。そうすることで注目度が上がり、販促やブランディングの確立を行います。

デジタルサイネージを看板の変わりに使用することは、高い視認性で強い訴求力を発揮できるからです。なので正しくデジタルサイネージを使用できるのであれば、導入を躊躇する要素はありません。繰り返しますが、正しく使用できるのであれば…という前提です。

一度デジタルサイネージを設置して効果を感じられた場合には、拡張や他店舗にも導入をするオーナーが多いようです。その背景にはデジタルサイネージを上手に利用して、なんとか集客に結びつけたいという強い思いがあります。

逆に効果を感じなければ、しょうがなく使っているケースが散見されます。デジタルサイネージで失敗している例は、「周りがやり始めたからとりあえず入れてみる」というような、設置ありきの考え方で理由が後付けされるパターンです。このような場合には増台する気すら起きませんし、ゆくゆくは単なる置き物と化し、いずれ撤去の道をたどるでしょう。

販促活動には必ずしもデジタルサイネージは必要ではありません。最初はわからないことや不安もあるでしょうが、誰でも操作・運用ができるものなので、最終的には熱意を持って取り組めるかどうかがポイントです。もし設置に迷ったら、不安要素は考えずに「やる気」で判断するのも良いでしょう。

情報提供のためのデジタルサイネージ

ショーウインドウのデジタルサイネージ

広告以外の用途で目につくデジタルサイネージは、情報の提供に使用されるものです。例えばニュースや天気予報は街のビジョンでもよく見ることがあります。また、交通機関の発着時間を随時更新したり、これらも情報提供と言えるでしょう。

情報提供用のデジタルサイネージは営利目的ではなく、視聴者に役立つ情報を与えるために設置する必要があります。そうすることで街や施設の価値を上げていくのです。広い意味で捉えると、こういうおもてなしの精神が周りの集客や売上につながる可能性もあります。

デジタルサイネージは、リアルタイムにコンテンツ変更できる点が特徴のひとつです。交通機関のトラブルや災害時にも、人々に役立つ情報をいち早く表示することができます。自治体や公共機関が主となって運用する場合もあります。また、広告と情報提供を織り交ぜて使用しているデジタルサイネージも存在します。

情報提供に使用するデジタルサイネージは、繁華街や駅などの人が密集する場所に設置することがセオリーです。また、待合スペースや信号付近などの人が一定時間留まる場所に設置することもあります。より多くの人に情報を提供するために設置場所にも工夫が見られます。

ニュースや天気予報、交通や災害に関するコンテンツを流したい場合に便利なのがコンテンツ配信サービスです。繁華街の大きなビジョンなどに映るニュースは、ほとんどの場合コンテンツ配信サービスと契約しています。自分でコンテンツを編集したりタイムスケジュールを設定する必要がなく、ただ電源をONしておくだけで勝手に情報を流してくれます。

情報共有に使用されるデジタルサイネージ

110インチマルチディスプレイ

広告や情報提供のデジタルサイネージは、すでに設置されるべきところに取り付いている印象があります。一時期は導入件数が右肩上がりだったのですが、近年ではやや落ち着いてきたイメージです。ここ最近で注目度が上がっているデジタルサイネージは「情報共有」に使用するものです。

具体的な例を挙げるとするなら会議で使用する大画面です。大きな画面でパソコンに入った会議資料を映し出し、参加者全員と同じ情報を共有します。今までは主に黒板やホワイトボード、プロジェクターがその役割を担ってきたわけですが、近年は液晶ディスプレイの価格が下がってきたことも導入が進む要因のひとつです。

もちろん他にも理由があります。プロジェクターでは部屋を薄暗くしないと、画面が極端に見えづらいというデメリットがあります。また、全体的な雰囲気がどんよりとしてしまうことも懸念材料のひとつです。デジタルサイネージの場合は、その点を改善できるため注目され始めたのです。

企業のオフィスや会議室、大学の講義室への導入が加速的に進んでおり、今後はプロジェクターに変わる大画面として、スタンダードになっていく可能性を秘めています。タブレット端末も大画面化がすすんでおり、今まではパーソナルな使用がメインだったタッチパネル画面も、情報共有のツールとして使用できる時代になりました。

ただ、現時点では「知る人ぞ知る」という範囲でしか認知をされておらず、本格的な導入件数の増加にはもう少し時間が必要となるでしょう。

空間演出やエンターテイメントにデジタルサイネージを活用するケースも

夕暮れのイメージをデジタルサイネージで

日本ではあまり一般的ではないですが、空間演出やエンターテイメントの目的でデジタルサイネージを設置する例もあります。海外では大掛かりなものも目にする機会がありますが、あまりこの用途でデジタルサイネージが導入されないのは、国民性も少なからず影響しているのではないでしょうか。

また費用対効果の側面を考えると、相当インパクトのあるものを設置しないと話題性が無いのも事実です。大掛かりな画面やシステムを採用することが必須となり、設置コストは当然ながら、運用やメンテナンスのランニング費用がかかることもネックです。

そのため空間演出やエンターテイメントで利用するデジタルサイネージは、大きなテーマパークや施設に設置が限られる傾向が強く、必然的に導入件数が少なくなっています。今後も設置件数に関して上昇する要素が今のところは見当たりません。裏を返せば、設置することで大きな注目を浴びる可能性は秘めているわけです。

用途に合った機材としては液晶マルチディスプレイやLEDビジョンです。特に巨大な画面を作りたい場合や、床面にも映像を流したいような場合はLEDビジョンを使用します。

導入が進んでいるデジタルサイネージ、しかしマストアイテムではないことを理解しよう

ウェルカムボードデジタルサイネージ

様々なシーンで導入が進んでいる日本のデジタルサイネージですが、それは決してマストアイテムではありません。例えば遠くに移動したいなら、自動車や飛行機、電車など色々な手段があります。デジタルサイネージも同じように、目的を達成するためのひとつのツールに過ぎないわけです。

そのため大切なのは「デジタルサイネージを設置すること」ではありません。明確な目的を先に立てて、それを実現するためにデジタルサイネージが必要なのかを検討するのが良いでしょう。



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