展示会には、インターネットやカタログなどによるプロモーションとは違った展示会ならではの特徴があります。例えば、1度に大勢の方と出会える、直接課題やニーズをヒアリングできる、実際に商品を試してもらえるなど。
これにより、それまでアプローチできなかった企業に自社商品を知ってもらうことができる、短期間で新規の顧客を獲得できる、などといった効果を見込むことができます。
一方で、展示会にかかるコストは膨大です。準備に数ヶ月から半年、大規模な場合は1年以上、費用は数十万円から数百万円、大規模な場合は数千万円以上かかります。
やはり、せっかく展示会に出展するなら、「大変だったけれど出展してよかった」「支払ったコスト以上の成果が得られた」と思えるようなものにしたいですよね。
本記事では、展示会を成功させるためのポイントを5つご紹介します。「初めての出展なので、ポイントを押さえておきたい」「何度か出展しているが、正直いまいち」という方、ぜひ参考にしてください。
目的を設定する
展示会の出展について検討する際、まずは目的を設定しましょう。
目的を設定をしないと、出展すること自体が目的となってしまい、展示会後に、「意味があったのかな?」「そもそも何のために出展したんだっけ?」という事態に陥ってしまうこともあります。
展示会の出展には、出展料、ブース製作費、販促物製作費、人件費など、コストがかかるため、それでは勿体ないですよね。目標はしっかりと設定するようにしましょう。
具体的には、例えば下記のようなものが挙げられます。
<自社の認知の拡大>
展示会には、短期間で大勢の方が訪れます。展示会に出展する企業にとっては、普段アプローチできない企業に自社を知ってもらうチャンスとなります。ブースの演出の仕方次第で、認知の拡大を期待できるでしょう。
<新商品のアピール>
新商品をリリースする際、気になるのが、「世の中に受け入れてもらえるのか」「必要とする方に良さがちゃんと伝わるのか」といった点ではないでしょうか。実際に商品を試してもらえる、生の声をヒアリングできるなど、直接的なコミュニケーションをとれる展示会は、新商品をアピールする絶好の機会です。
<商談・受注の獲得>
展示会は、主催者によってテーマが決められており、基本的には、そのテーマに興味のある方ばかりが来場されます。つまり、展示会は最初から興味度の高い方にアプローチできる場と言えます。「よい商品であればすぐにでも導入したい」と考える方もいますので、効率的に商談や受注につなげていくことができます。
<既存顧客との交流>
どんな企業にも、何年も疎遠になっている顧客や、普段電話でしか交流していない顧客などがいらっしゃると思います。そういった方々に展示会に来てもらうのもよいでしょう。商品に対する感想・要望のヒアリングや別のソリューションの提案などを行えば、また新しい発展があるかもしれません。
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コンセプトを明確にする
展示会のコンセプトを明確にしましょう。コンセプトとは、全体を貫く統一的な視点や考え方のことです。コンセプトを明確にすることには、下記のようなメリットがあります。
- 方向性が定まり、意思決定や準備がスムーズになる
- 自社スタッフの間で認識や意識を共有しやすくなる
- 来場者に対して「何を出展している企業なのか」が伝わりやすくなる
展示会のコンセプトでポイントとなるのは下記の3つです。
- 誰に(ターゲット)
- 何を(商品)
- どう届けるか(メッセージ)
<誰に(ターゲット)>
展示会には、大勢の方が来場されます。一定のテーマが決められているとは言え、それぞれ課題やニーズ、業種、事業規模、職種、予算、導入時期、自社との関係性などが異なります。うまくマッチングさせるため、ターゲットを定めるようにしましょう。
例えば、新商品のアピールを目的とする場合、全く自社を知らない方よりも昔からのお得意様の方がターゲットとしやすいでしょう。また、商談・受注の獲得を目的とする場合、決裁権のある方や早めの導入を考えている方などをターゲットとしやすいでしょう。
<何を(商品)>
せっかくの機会だからと、ブースにあれこれたくさんの商品を並べてしまう企業もありますが、これはNGです。展示会会場には、他にもたくさんのブース・商品があります。あれこれアピールしてしまうと、パッと見でどんなブースか分からないので、素通りされます。出展する商品は、できるだけ絞るようにしましょう。
では、どんな商品を出展するとよいのか。例えば、自社の認知の拡大が目的なのであれば、看板商品や人の目を引きやすい商品などがよいでしょう。既存顧客との交流が目的なのであれば、看板商品以外や看板商品の新バージョンなどがよいでしょう。
<どう届けるか(メッセージ)>
どんなに良い商品であったとしても、その良さがターゲットに届かなければ意味がありません。ターゲットに商品の良さが伝わるようなメッセージを考えましょう。
下記のような視点を持つと、伝わりやすいメッセージになります。
■「どういう企業向けにその商品を打ち出しているのか」
例)〇〇業界向け、未導入企業向け、従業員5,000人以上の大企業向けなど
■「その商品を導入するとどんなメリットがあるのか」
例)業務効率がよくなる、製品の品質が良くなる、理想顧客に自社を認知してもらえるなど
■「ライバル企業の類似商品とどう違うのか」
例)安価で導入できる、安全性が高い、豊富な実績があるなど
- 誰に(ターゲット)
- 何を(商品)
- どう届けるか(メッセージ)
これらが明確になると、例えば、
- 事前案内を出す相手
- ブースの広さやデザイン
- スタッフの役割
- チラシやパンフレットなどに使う言葉
なども自ずと決めやすくなるでしょう。
目標を設定する
展示会の目標を設定しましょう。
目標設定を行う際は、「SMARTの法則」にならうのがおすすめです。SMARTの法則とは、1981年にジョージ・T・ドランが提唱した目標設定法で、下記5つのポイントがあります。
- Specific:具体的である
- Measurable:計測可能である
- Achievable:達成可能である
- Relevant:関連性がある
- Time-bound:期限がある
<Specific:具体的である>
目標は、具体的にしましょう。
「前回よりもよい成果をあげたい」
「人だかりができるブースにしたい」
「より多くの方に自社の良さを知ってもらいたい」
などといったような曖昧な目標はNGです。
「新規顧客の名刺を100枚以上獲得する」
「15名以上の方と商談を行う(商談の定義:商談スペースで10分以上の対話)」
「展示会出展から1ヶ月後までに5件以上の受注を獲得する」
などといったようにしましょう。
具体的にすることで、共通の認識を持てるようになり、何をすべきかが明確になります。
<Measurable:計測可能である>
目標を達成できたかどうかを客観的に評価できるよう、目標は計測できるものにしましょう。
上記の「新規顧客の名刺を100枚以上獲得する」「15名以上の方と商談を行う」「展示会出展から1ヶ月後までに5件以上の受注を獲得する」という目標は、計測できますね。
<Achievable:達成可能である>
目標は現実的なものでなければなりません。達成できないような目標では、達成イメージが湧かなかったり、プレッシャーを感じたりして、モチベーションが低下してしまいます。
例えば、名刺の獲得数を目標とする場合、目標数をそれまでの実績の2倍に設定するのは現実的ではありません。1.2倍~1.3倍が妥当でしょう。
<Relevant:関連性がある>
目標は、その達成によって、自分のあるいはスタッフたちの個人的な欲求も満たせるように設定しましょう。
例えば、
「名刺を獲得することで、普段の集客の苦労を軽減させることができる」
「前回より大きい目標を達成することで、人事評価を上げることができる」
など。こうすることで、モチベーションを維持しやすくなります。
<Time-bound:期限がある>
目標には、例えば「展示会の期間中」「展示会出展から1ヶ月後まで」など期限を定めるようにしてください。期限を定めないと、先延ばしをしてしまいますし、進捗状況の評価ができません。
集客施策を考える
展示会に出展したからといって、必ずブースに人が来てくれるというわけではありません。実際に、展示会会場を見回してみると、自社スタッフ以外に誰もいない、というブースが珍しくありません。集客施策についても考えましょう。
ここでは、「事前集客施策」と「会場集客施策」の2つに分けてご紹介します。
事前集客
事前集客施策は、展示会の開催前に行う集客施策のことです。ターゲットは主に既存顧客や自社サイトの読者などで、展示会の当日、自社ブースに来てもらうために行います。
<DM・メール・電話で案内>
展示会に出展することが決まり、内容が固まってきたら、DM・メール・電話などで案内を出しましょう。
DM・メールでは、展示会のパンフレットや展示商品のチラシなどに加えて、個別のメッセージがあると、親しみを持ってもらいやすくなります。
最も成果につながりやすいのが電話です。時間はかかりますが、課題をヒアリングしたり疑問や不安にお答えたりしたりなど、直接的な会話をすることで、相手の興味を引き出すことができます。DMとメールと電話、複数のアプローチを行うことで、展示会を意識してもらいやすくなります。当然のことですが、相手の迷惑にならない範囲で行う必要があります。
<WebサイトやSNSで案内>
自社サイトやSNSなどでも案内をしましょう。
自社サイトでは、特設ページを設けるのがおすすめです。相手にとって情報収集がしやすくなります。また、そのページへのバナーをトップページに貼っておくのもおすすめです。気づいてもらいやすいです。
SNSでは、コメントやシェアを促すようなメッセージを盛り込むとよいでしょう。コメントやシェアで賑わい感が生まれれば、興味を持ってくれる人が出てきます。事前集客施策では、展示会ならではのメリットを伝えることが大切です。インターネットやカタログなどでは得られない情報がある、そこでしか体験できないものがある、といったアピールをしましょう。また、展示会は会場までの移動や参加すること自体に時間がかかるものです。相手のスケジュール調整の都合を考えて、数ヵ月前から案内をしていくのがおすすめです。
会場集客
会場集客施策は、展示会の当日に行う集客施策のことです。ターゲットは来場される方全員で、たくさんのライバル企業ブースがある中、自社ブースに来てもらうために行います。
<看板>
どんなに良い商品だとしても、どんなに見栄えのよいブースを作ったとしても、来場者に「自社にメリットがありそう」と思ってもらえなければ、立ち寄ってはもらえません。
看板には、「どんな問題を抱えている企業が、その商品でどうなれるのか」といったことが一瞬で分かるようなキャッチコピーを掲げましょう。よく社名やブランド名、商品名などを大きく掲げているケースを目にしますが、誰もが知っている企業以外は、素通りされます。
<声掛け>
自社ブースの前を通る来場者に対して、
「〇〇でお困りではありませんか?」
「〇〇の展示をしています」
「〇〇時から〇〇のミニセミナーを行います」
など、声掛けを行いましょう。
もちろん、声掛け言葉としておかしくなければ、キャッチコピーと同じものでもよいです。
声掛けは、看板とは違い、全然違う方向を向いている方やブースの前を通り過ぎようとしている方にアピールすることができます。
<デモンストレーション>
展示会に訪れる方は、そこでしかできないことを求めています。例えば、下記のようなデモンストレーションがあると、来場者の注目を得られやすいです。
- 掃除用具を出展するのであれば、実演する
- 食べ物を出展するのであれば、試食してもらう
- 機械を出展するのであれば、シミュレータで操作してもらう
- マッサージ器を出展するのであれば、実際に使用してもらう
<ノベルティ>
通路に近いところにノベルティ(文房具やカレンダー、PC周辺機器、バックなど)を置いておくと、来場者の注目を得られやすいです。ノベルティを渡す際、同時にチラシなどを渡せるとよいでしょう。
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展示会後に振り返りを行う
展示会後は、次回につなげていくため、振り返りを行いましょう。
目標達成の有無を確認&PDCAサイクルを回す
まず、目標を達成できたのかどうかの確認です。
目標が達成できた場合は、また次回に向けて、新しい目標について検討するのもよいでしょう。
目標を達成できなかった場合でも、その原因を突き止めておくことで、次回以降、より効果的な対応ができるようになるでしょう。2つの例を示します。
例1:名刺獲得数を目標としたケース
名刺が目標数に到達しなかった。特に新規顧客が少なかった。ーー 次回からは、(既存顧客を集めやすい)事前集客施策よりも、(新規顧客を集めやすい)当日集客施策に力を入れた方がよいかもしれない。
例2:受注数を目標としたケース
興味を持ってくれる方がとても多く、名刺もたくさんもらえたのだが、受注が目標数に到達しなかった。ーー 興味を持ってくれた方は決裁権のない方ばかりだったのかもしれない。次回からは、決裁権のある方に届くような工夫(例えば、キャッチコピーで導入スピードをアピールする、動画で導入事例を紹介するなど)をした方がよいかもしれない。
もちろん、目標設定の仕方に問題がある場合も考えられます。例えば、「欲張りすぎて目標値を高めに設定してしまった」「スタッフ達のモチベーションを引き出せていなかった」など。目標設定の仕方についても振り返りを行いましょう。
獲得単価・費用対効果を算出する
獲得単価や費用対効果を算出し、出展費用に見合うだけの効果を得られたのかを確認しましょう。※獲得単価や費用対効果を意識していない場合でも、後々役立つことがありますので、算出しておくことをおすすめします。
<獲得単価の算出>
展示会の出展費用/名刺獲得数
この計算式で、名刺を1枚獲得するためにかけた費用(名刺獲得単価)が分かります。例えば、展示会の出展費用が50万円、獲得した名刺が200枚だった場合、”名刺を1枚獲得するのに2,500円の費用がかかった”ということになります。
商談や受注の獲得単価についても、同様に計算ができます。
<費用対効果の算出>
売上/展示会の出展費用
この計算式で、費用を回収できたかどうかが分かります。例えば、展示会の出展費用が50万円、50万円の売上を出すまでに出展日から3週間かかった場合、”3週間で費用を回収できた”ということになります。
獲得単価や費用対効果を算出することで、過去の展示会や別の展示会などと比較ができるようになります。各展示会の獲得単価・費用対効果は、一覧表形式にまとめておくことをおすすめします。次回以降、展示会の選定や予算計画などを行う際に役立ちます。
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参考:展示会に出展する目的やメリットとは?
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