”大きな画面を格安に手に入れたいんですけど、プロジェクターはイヤです。なんかアドバイスください!”
(東京都・ルーちゃんさん/30歳/男性)
価格重視で100インチの大型モニターを手に入れる3つの方法とは?
「大きな画面で会議や勉強会を行いたい」そんな場合によく用いられるのがプロジェクターではないでしょうか?しかし部屋を暗くする必要があったり、文字や画像が鮮明ではなかったりと若干の不満を覚えることもあります。なので画質が悪くても、とにかく低価格で大画面を手に入れたいという方はプロジェクターで良いでしょう。それが最も安く手に入る大画面です。
今回は「プロジェクターでは満足できない!」と仰る、そんなあなたのために液晶マルチモニターというものをご紹介します。
液晶マルチモニターとは複数の液晶モニターを組み合わせて、ひとつの大画面に仕上げる方法です。おそらくプロジェクターの次に低価格で手に入る大画面はこの方法です。ではその方法と価格について触れていきます。
方法1:格安デジタルサイネージ専用モニターをネットで購入する
※例えばシャープ製の55インチだと1台がこの値段
購入するモニターは本当に価格だけ重視するならテレビでも良いのですが、テレビの場合は単体使用しか想定していないため、特殊な中継機を使用する必要があります。その機械の操作がかなり難解であるためあまりおすすめしませんが、機械やPCに絶対の自信がある方はテレビを用いても良いと思います。その場合は「マトリクススイッチャー」や、「TVウォールコントローラー」と呼ばれる中継機材を揃えましょう。とにかく安く、ということならそれもネットで検索して購入しましょう。安いもので数万円程度です。
デジタルサイネージ用の専用モニターをおすすめする理由は、モニター自体にマルチモニター用の設定機能があるという点です。この機能を使用すれば容易にマルチモニターの設定ができます。また小難しい中継機を使わずとも、シンプルなHDMI分配器のみで100インチ大画面が構築できます。
方法2:格安で販売されているベゼルの太いモニターを買う
デジタルサイネージ用のモニターであっても、ベゼルの薄い「ベゼルレスモニター」の価格は高価です。その一方で、ベゼルの太いモニターは格安で購入できることがあります。
ベゼルが太いので見え方は劣りますが、格安で大型モニターを購入したい方は選択肢の1つに入れましょう。
方法3:家庭用のテレビを使う
最近は家庭用テレビの価格がかなり安くなってきており、家電量販店やECサイトで格安で購入できます。家庭用のテレビでもデジタルサイネージとして使えないことはありません。
いくつかのデメリットはありますが、それを理解すれば格安で大型モニターを導入できます。
家庭用テレビやノーマルベゼルモニターをデジタルサイネージとして使う3つのデメリット
液晶マルチモニターを組む場合に「ノーマルベゼル」と、「専用薄ベゼル」があるということは以前にもお話ししました。テレビや一般的なサイネージモニターは「ノーマルベゼル」に分類されます。個人的なおすすめはもちろん専用薄ベゼルモニターの使用ですが、以下のデメリットを読んでいただいて、それでもノーマルベゼルを選ばれる場合はお断りする理由はありません。
デメリット1:ベゼルの厚みによる結合部の違和感
以前の記事を読んでいただいた方には復習となりますが、ノーマルベゼルの代表的なデメリットと言えば「結合ラインが太くなる」ということです。
映像コンテンツをディスプレイをまたいで表示する場合、このラインの太さはかなりの違和感を感じます。
デメリット2:映像のズレによる違和感
結合ラインが太くなるというのは物理的に理解しやすいのですが、こちらの問題は実際に映像を流さないとわかりにくいため要注意ポイントです。理解しないといけないのはベゼルは液晶面に覆い被さっているのではなく、液晶の周りをぐるりと囲っているということです。結果、映像のズレが生じてしまいます。そのズレはラインが太くなればなるほど大きくなります。
映像表示にそこまでシビアさを求められない場合は問題ありませんが、会議資料など細かな文字が列挙される場合や、デジタルアートなど繊細な表示が必要なケースはおすすめできません。
デメリット3:家庭用テレビは輝度が低く見えづらい
家庭用のテレビでもデジタルサイネージとして使えますが、室内かつ明るい場所であればあまり問題ありません。
しかし、家庭用テレビの輝度は業務用モニターに比べるとかなり低いので、少しでも暗い場所や屋外ではきれいに表示できません。
大型モニターを設置するなら、せめてノーマルベゼルの業務用モニターを使うことをおすすめします。
それでもノーマルベゼルを選ぶ理由があるとしたなら…
ただ、若干のメリットもあります。それは専用ディスプレイと比較して「薄型軽量であること」→設置や撤去がしやすく、移設がしやすいこと。そして「液晶の破損リスクが少ないこと」→結合部が干渉した際の圧力や側面からの衝撃に強いことです。
以上のようなことからノーマルベゼルを選択するなら、キャスター付きスタンドに設置して移動させる場合や期間限定のポップアップストアへの導入など、決しておすすめではありませんがそのあたりでの使用は許容と言えるかもしれません。専用薄ベゼルで組んだマルチモニターの写真を載せておきますので比較してみてください。
100インチ超大画面液晶マルチモニターの気になる概算価格は?
55インチモニターを4台連結して、合計で110インチのマルチモニターを作る場合の機材合計概算価格を紹介します。
〈ノーマルベゼル〉
■モニター(シャープ55インチ、デジタルサイネージ専用モニター)4台=約640,000円
■設置用金具=約40,000円
■HDMI分配器=約10,000円
■HDMIケーブル一式=約10,000円
【合計】約700,000円※税別、工事費等諸経費別
〈専用薄ベゼル〉
■モニター(ヤマトサイネージ55インチ、マルチ専用薄ベゼルモニター)4台=1,280,000円
■専用金具=約150,000円
■HDMIケーブル一式=約10,000円
【合計】約1,440,000円※税別、工事費等諸経費別
100インチ越えの大画面モニターの具体的な参考価格は?
※気になる大画面マルチモニターの価格は?
一般的な家庭用のテレビやパソコンモニターは調べればすぐ価格が出てくるものです。しかし巨大な画面を構築したいとなると、いちいち業者に問い合わせして見積もりを出すしかありません。
今回は面倒な問い合わせをしなくても、スピーディに概算価格がわかるように記事にしてみました。
※当価格は2024年8月現在のものです。国際情勢等により金額が変動することがあります。ご了承ください。
大画面液晶マルチモニターの価格を構成する要素は「機材費」「設置工事費」「その他諸費用」の3つに分類されます。希望するサイズによって大きく費用が異なります。
110インチ(55インチ×4台)液晶マルチモニターの費用
【概算総額】2,224,000円(税別)
〈内訳〉
・55インチモニター4台 1,432,000円
・ブラケット 192,000円
・工事費 300,000円
・諸費用 300,000円
165インチ(55インチ×9台)液晶マルチモニターの費用
【概算総額】4,504,000円(税別)
〈内訳〉
・55インチモニター9台 3,222,000円
・ブラケット 432,000円
・工事費 450,000円
・その他諸費用 400,000円
330インチ(55インチ×36台)液晶マルチモニターの費用
【概算総額】18,116,000円(税別)
〈内訳〉
・55インチモニター36台 12,888,000円
・ブラケット 1,728,000円
・工事費 2,500,000円
・その他諸費用 1,000,000円
内訳費用の説明
次に内訳についてです。モニターの他にブラケットや工事費、その他諸費用という項目がありますが、それぞれについて簡潔に説明します。
55インチモニターとは?
連結してマルチモニター専用に開発された液晶保護枠が極端に細いモニターです。枠を細くすることで連結した際のラインを目立たなくしています。
ブラケットとは?
壁面設置の場合に使用する壁掛け金具のことです。メンテナンスを考えて伸縮する専用ブラケットを使用します。
工事費について
工事費用は現場の状況により価格が変わってきます。壁面の状態によっては下地の補強を行ったり、電気工事が必要になるケースもあります。まずは概算価格にて検討の上、予算的な問題がなければ現場調査を依頼して詳しい見積もりを取りましょう。
その他諸費用
主に機材の配送費や交通費、工事に使用する細かい部品や配線のことを指します。また、工事に2日以上要する場合には宿泊費をいただくようになります。
希望する使い方によって追加部材が必要になる
分割画面を映したい、カメラ映像を流したい、音声を出したいなど追加オプションが必要な場合は別途料金となります。また、映像配信用のプレイヤー(パソコンやテレビチューナーなど)は基本的にお客様ご自身でご用意いただくようになります(※指定くださればこちらでのご用意も可能)。どのようなことをしたいかを明確にして、要望を伝えましょう。
デジタルサイネージの価格決定要素
デジタルサイネージの価格決定要素を知っていただくと、より予算感をイメージしやすくなります。
弊社にお問い合わせいただく際にも、以下のポイントについてお伝えいただければ、よりスピーディにお見積もり金額の算出が可能となります。
価格決定要素1:設置環境
デジタルサイネージを設置する場所が「屋外」「半屋外」「屋内」のどこかにより、選定する機種が変わり、価格も異なります。
特に屋外用と屋内用では、防塵防止機能や輝度が大きく異なり、それに合わせて価格も大きく異なります。
価格決定要素2:サイズ
液晶ディスプレイであれば32〜98インチが一般的で、マルチディスプレイであれば55インチを田の字に4面で110インチ、9面で165インチという大画面も可能です。
LEDビジョンもご希望に合わせてサイズ変更が可能で、他のデジタルサイネージよりも拡張性が高く横10メートル等のディスプレイも構築可能です。
価格決定要素3:設置方法
デジタルサイネージの設置方法としては、以下のように多くの選択肢があり、価格も変わります。
・専用ブラケットにて設置
・自立型キャビネットなどをアンカー固定
・移動式ホイール付属スタンドを使用
設置場所によっては、壁にかけられない、床に穴を開けられないという条件もあるので、設置条件に合わせて確認が必要です。
価格決定要素4:拡張機能
デジタルサイネージに拡張機能を追加することで、タッチパネル機能やWebカメラ、集音マイクの設置も可能です。
デジタルサイネージの使用用途により必要な拡張機能が異なり、価格も変動します。
デジタルサイネージの価格決定要素については、以下の関連記事をご覧ください。
業務用の大型モニター「デジタルサイネージ」に4Kスペックは必要?
最近ではもう当たり前になった4K対応モニター。しかし以前も触れたように4K「対応」というところがポイントで、モニター側は4K映像を常に流せるわけではなく、コンテンツ側が4Kデータである場合に流すことができる、という意味なのです。なので4Kコンテンツが同時に整った場合のみ高画質映像が楽しめるわけです。
例えば、2022年4月現在、残念ながらテレビの一般放送は2Kのフルハイビジョン放送です。なので地上波デジタル放送を4Kテレビで見ても画質が良くなるわけではありません。
衛星放送のBS・CSチャンネルは4K放送をしているものがあります。またNHKは8Kのチャンネルを持っています。なので現在、テレビを高画質で楽しむには衛星放送を契約するしか方法がありません。
基本的にテレビモニターで地上波放送しか見ない、という人にとってモニターは4Kである必要はないといえます。
この事例と同じように、会議室のプレゼンモニターとして使う場合など、4Kスペックのコンテンツを表示することを想定していない場合は、4Kスペックの大型モニターを使ってデジタルサイネージを構築する必要はありません。
画質にこだわるなら、大画面はNG?
大画面になればなるほど同じ解像度でも、ドットの密度の問題で画質は悪くなっていきます。なので本当に画質のみにこだわるなら、大画面はあまりよろしくないという結論になってしまいます。しかしそれはあくまで原理的な話で、テレビモニターは数メートル離れて見るものなのでほとんど気になりません。
現在は4K対応モニターがスタンダードになっていますが、画面が大きくなればなるほど肉眼では気にならないレベルですが、画質は悪くなっていくということを覚えておきましょう。
高画質=マスト条件、ではない?
さて、高画質対応モニターには高画質対応のコンテンツを用意しないと、全く意味がないことをご理解いただけたでしょうか?今までの考え方は家庭用のテレビについて説明してきたわけですが、ではビジネスシーンやデジタルサイネージの場合ではどうでしょう?
実は業務用に用いられるモニターは、もちろん4K対応するものも増えてきているのですが、テレビほど普及率が上がっていません。それにはどのような理由があるのでしょうか?
会議やプレゼンで使用する大画面モニター
会議で使用する大画面モニターは、主にパソコンをつないで使用されることが多いです。パソコンの解像度は4Kに対応しているものもありますが、ビジネスにおいてあまり画質を求めるようなシチュエーションはありません。また一般的なWindowsパソコンの解像度は2Kまでのものが非常に多いという事実もあります。
よって家庭ほど画質にこだわりたいという需要は少なく、未だに2K対応モニターがシェアを握っている状態です。しかし近年は4K液晶パネルの値段が下がってきているため、近い将来は業務用モニターも4Kにシフトしていくものと思われます。
デジタルサイネージとして使用する大画面モニター
デジタルサイネージは殆どの場合、テレビのように長時間凝視することがありません。どちらかといえば一瞬のインパクトを求める傾向にあるため、画質よりは明るさや見えやすさに重点を置く傾向にあります。そのため画質を求めるようなことはあまりありません。
しかしこちらも数年後には4Kに移行する可能性が非常に高いです。テレビも業務用モニターも使用する液晶パネルは同じです。しかし需要は圧倒的にテレビのほうが多く、業務用モニターのためだけに今後も2Kモニターを生産し続けるということは考えにくいからです。
まとめ
ルーちゃんさん、以上参考にしていただいて間違いのないマルチモニターを選んでください!
今回のポイントは以下となります。
✅ノーマルベゼルはラインの太さと映像のズレがリスク
✅ノーマルベゼルは側面からの圧力や衝撃には強い
今日はここまで。また次回お会いしましょう❣
では、また。