屋内の大画面サイネージを作る方法
大きな画面で映像や情報を流したい場合にプロジェクターやLEDビジョンが思い浮かびますが、忘れてはいけないのが「液晶マルチモニター」です。まずはそれぞれの長所・短所をまとめてみます。
プロジェクターの長所と短所
プロジェクターは持ち運びが楽に行なえること、かつ低価格で準備できる点が長所です。「映ればそれでいい」という考え方ならプロジェクターが最も適していると言えます。
ただ一般的なプロジェクターは照度(ルーメン)が低く、使用するために室内を暗くする必要があります。なので明るい雰囲気を保ちたい場所には適しません。また映像や文字が鮮明に表現できないため、多人数を相手に映像を表示したい場合も不都合が生じます。 なので適切な使用のシチュエーションは少人数の会議、家庭での娯楽利用等となるでしょう。
LEDビジョンの長所と短所
屋外のビッグビジョンと言えばLEDですが、実は屋内に設置されることもしばしばあります。LEDビジョンの長所は強い光を発光できること、反射の影響を受けにくいことが挙げられます。LEDはタイルを敷き詰めるような感覚で数十センチ角のLEDパネル(モジュール)を並べて組み立てるのですが、連結部もスマートに見えることもメリットです。
反面、LEDのランプ(ドット)は肉眼で確認できるほど隙間が開くようになります。
※離れて見れば違和感がないが近くで見るとかなり粗い印象
なので屋内のような比較的ビジョンと見る人の位置関係が近い場合は、設置にあまり適していると言えません。しかし屋内でも、見る人との距離が保てる場所なら問題ありません。また、あまりサイズが小さいとランプ(ドット)の数が少なすぎるため映像をまともに表現できません。なのでLEDビジョンを設置する場合は、ある程度の表示面積(最低でも1.5平米程度)を確保するほうが良いです。LEDビジョンは基本的に屋外使用に適応する要素が大きいため、屋外への設置をおすすめします。
液晶マルチモニターの長所と短所
液晶マルチモニターのメリットは、なんと言っても映像の美しさです。プロジェクターやLEDビジョンに比べて映像を高精細に表現します。明るさはLEDより落ちますが、室内の明かりの下でも照明を落とさなくて良い程度の明るさがあります。映像の質でいうと液晶が一番良いと言えます。
唯一のデメリットは連結部にベゼル(枠)のラインが入ってしまうことです。しかしマルチモニター専用の薄ベゼルモニターを使用することでそのラインを目立たなくすることができます。
※専用薄ベゼルモニターのベゼルライン幅は合計3.5mmと細い
結合部ラインさえ問題なければ、屋内に設置する大型画面は液晶マルチモニターをおすすめします。
参考価格
次は価格です。以下はあくまで参考価格ですので、選ばれる機種・メーカー、お好みの使用方法や設置環境によって前後するものとお考えください。画面の大きさは100インチ程度を想定した価格となります。
プロジェクターの参考価格(100インチ程度)
■プロジェクター本体価格:30万円前後
■100インチ用スクリーン:10万円前後
【合計】40万円前後
屋内用LEDビジョンの参考価格(100インチ程度・4mm間隔のドット配列として)
■LEDパネル(W2240*H1280mm):150万円前後
■その他周辺機器/設置用部材:30万円前後
■設置工事費用:20万円前後※現場の状況により金額が異なります。
【合計】200万円前後
液晶マルチモニターの参考価格(110インチとして)
■55インチマルチ専用モニター(3.5mmベゼル4台):130万円前後
■その他周辺機器/設置用部材:30万円前後
■設置工事費用:20万円前後※現場の状況により金額が異なります。
【合計】180万円前後
まとめ
大画面を作る方法は様々ですが、使用する環境や視認距離(画面と人の位置関係)などで適切な機材を選んでください。プロジェクターは設置や設定が簡単なことから、メーカーや製品が自分の好みに合うかで購入すれば良いと思います。筆者個人的にはネット販売で安く購入されることをおすすめします。
LEDビジョンは前述のように屋外設置が基本です。屋内設置の場合は様々な条件により、適切かどうかの判断が必要になりますのでお話を進める会社の担当者と相談されるのが良いでしょう。
液晶マルチモニターは屋内の場合、ほとんどの場所へ設置可能です。ただ、直射日光の影響が大きい場所(例えばショーウインドウを隔てた屋外向けなど)への設置は自然光や反射の影響が大きいので不可となります。