近年はスマートフォンやスマートウォッチなど、防水・防塵機能を備えたガジェットが増えてきました。その背景には、私たちの生活のあらゆる場所にIoT機器が活用され始めたことがあります。
多くのIoT機器が防水・防塵機能を搭載するようになり、今までは使われていなかった屋外でも様々なIoT機器の利用が普及してきました。
この防水・防塵機能を国際基準で定めた「IPコード」により、ほとんどの電子機器類の防水・防塵性能のレベルを標準化しています。
そこで今回の記事では、IPコードの定義や防水・防塵性能別の等級、さらには、多種多様な業種のDX推進に活用されているデジタルサイネージにおける防水・防塵性能の必要性についてもわかりやすく解説します。
IPコードとは?
IPコード(International Protection)は、電気機械および電子機器の外部からの侵入物質や水分からの保護レベルを示す国際規格です。IPコードは”IP”の後に数字が続きます。それぞれの数字は特定の種類の保護を表し、一般的には防塵性能と防水性能を示します。
IPコードの構成は次のとおりです。
・最初の数字:固体物質(粉塵)からの保護
・2番目の数字:水分からの保護
例えば、IP67の場合、6は粉塵からの保護を示し、7は水からの保護を示します。
また、防塵性能だけ、防水性能だけを示すこともあり、その場合は、以下のような表示になります。省略する方を「X」で示します。
このような規格は、特に電子機器や屋外で使用される機器など、特定の環境下での使用において重要です。
防水・防塵性能はどんな時に役立つ?
多くの電子機器が防水・防塵性能を備えるようになっていますが、それにはいくつかの理由があります。
ここでは電子機器に防水・防塵機能があることで便利になる理由を解説します。
理由1:屋外での使用が可能になる
屋外での機器や電子機器は、天候や環境の影響を受けやすいため、防水・防塵性能が重要です。雨や雪、塵や砂などの外部要因から機器を保護するために、使用環境に合わせた十分なレベルの保護性能が求められます。
理由2:製品寿命が長くなる
電子機器類は屋内外のあらゆるシーンで活用されています。突発的に大雨が降ったり、強風が吹き粉塵が舞うことも日常茶飯事です。防水・防塵性能があれば、機器の寿命を延ばし、故障や損傷のリスクを軽減できます。
理由3:クリーニングが簡単になる
防水・防塵性能がある場合、機器を手軽にクリーニングできるので、長く大事に使うようになります。きれいな状態で製品を使い続けられ、結果的に製品寿命が伸びます。
防塵性能0〜6の7等級に分かれている
防塵性能は製品が外部からの固形物侵入に対する保護レベルを指します。等級は「IP0X」から「IP6X」までの7段階で、それぞれ異なる固形物を想定しています。
等級が上がるほど侵入可能な物体が小さくなり、IP6Xでは微細な粉塵ですら侵入しません。スマホの場合、防塵性能がある場合はほとんどがIP5X以上を満たします。
具体的な等級別の防塵性能は以下の通りです。
▶️第1桁(固体物への保護レベル)
0: 保護なし
1: 50mm以上の大きな物体からの保護
2: 12.5mm以上の中くらいの物体からの保護
3: 2.5mm以上の小さな物体からの保護
4: 1mm以上の極小の物体からの保護
5: 塵に対して完全な保護(侵入は許可されるが、有害な量ではない)
6: 完全な塵の侵入防止
防水性能0〜8の9等級に分かれている
防水性能は製品が水の侵入に対する保護レベルを指し、等級は「IPX0」から「IPX8」までの9段階に分かれます。
等級が上がるほど試験条件が厳しくなりますが、最高等級のIPX8は試験方法が明確ではないため、メーカーが独自の試験基準で判断します。IPX7以下は厳しい条件下で浸水する可能性があるため、「耐水」と表記される場合もあります。
具体的な等級別の防水性能は以下の通りです。
▶️第2桁(液体への保護レベル)0: 保護なし
1: 垂直に落ちた水滴からの保護
2: 15度の角度から垂直に落ちた水滴からの保護
3: 60度の角度から垂直に落ちた水滴からの保護
4: 全方向からの噴霧水からの保護
5: 小量の噴水からの保護
6: 中量の波が立っている水からの保護
7: 水中からの保護(一時的な浸水)
8: 水中からの保護(持続的な浸水)
防水・防塵性能に関する3つの注意点
IPコードで規格化されている保護レベルは、特定の環境下での保護レベルを示しています。利用シーンによってはIPコードの等級が高くても注意が必要です。
そこでここからは防水・防塵機能についての注意点を3つ解説するので、1つずつ詳しくご覧ください。
注意点1:等級が高くても「完全」ではない
高いIPコード(例えばIP68)を持つ製品は、一般的に水や塵から十分に保護されると考えられますが、これは完全な防水や防塵を意味しません。製品が適切に密閉され、使用条件に応じて適切な取り扱いがされている場合でも、長時間の浸水や極端な状況下では依然として損傷する可能性があります。
注意点2:海水やプールの水には対応していない
防水性能を持つ製品でも、海水やプールの水に対する保護は保証されていない場合があります。これは、海水やプールの水が塩分や化学物質を含んでおり、通常の水よりも製品に悪影響を与える可能性があるためです。製品の取扱説明書や仕様を確認し、適切な使用条件を把握することが重要です。
注意点3:防水性能IPX8は統一規格ではない
IPコードの最後の数字が「X」の場合、その製品は液体に対する保護レベルが試験されていないことを示します。つまり、IPX8の製品は水に対する保護が特定されておらず、製品ごとに異なる水に対する耐性を持つ可能性があります。IPX8の製品を選ぶ場合は、メーカーの仕様や詳細なテスト結果を確認することが重要です。
デジタルサイネージに求めらる防水・防塵性能
デジタルサイネージの多くは、屋外看板や室内での情報発信など幅広いシーンでの活用が進んでいます。しかし、近年は防水・防塵性能が高まったこともあり、屋外でのニーズが特に高まっています。
例えば、農業現場で活用するには防塵・防水機能が必要ですし、物流倉庫内で使う際にも防水機能は不要でも、防塵機能があると安心して使い続けられます。
デジタルサイネージを屋外で使う場合は、最低でも「IP65」の防水・防塵機能が必要です。
デジタルサイネージを設置する場所や利用シーンにより、必要なIP等級が異なるので、詳しくはヤマトサイネージまでお問い合わせください。
防水・防塵性能付きデジタルサイネージならヤマトサイネージへ
デジタルサイネージは設置する目的や場所により、最適な機種が異なります。もちろんヤマトサイネージでも既製品としてすぐに出荷できるデジタルサイネージもご準備しておりますが、お客様の中には自社の仕様に最適化したデジタルサイネージを開発してほしいというニーズも多数いただいています。
防水・防塵機能が不要な場合は、その分単価を抑えたご提案をさせていただきますし、高い防水・防塵性能が必要な場合は、最適なデジタルサイネージをご提案いたします。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。