液晶ディスプレイを連結するという概念
液晶ディスプレイは、画面を連結して1つの大画面にする方法があります。それをマルチディスプレイと呼びます。マルチディスプレイといえば、パソコン画面をイメージされる方も多いと思います。しかし、デジタルサイネージとしての注目度も高まっています。
マルチディスプレイのレイアウト
マルチディスプレイの特徴は、好みの連結ができるという点です。16:9の画面比率を維持する場合や縦長・横長に連結する方法など、レイアウトの一例を挙げてみます。
テレビと同じ画面比率を維持するレイアウト
デジタルサイネージに使用するマルチディスプレイは、縦横を同じ列にして画面比率16:9を維持する方法がベーシックです。
例えば写真のように縦が3列なら、横も3列に合わせてやります。そうすることで一般的なディスプレイ(テレビやパソコンモニター)と同じ比率になります。テレビ用CMなどの既存コンテンツがそのまま流用できます。そのため、映像コンテンツを再編集する手間が省ける点がメリットです。
横長・縦長に連結する方法
縦や横に長細く連結する方法もあります。コンビニやファーストフード店のカウンターには、下の写真のような画面レイアウトが多用されています。時には1つの横長映像がドガーンと映り、かと思えばそれぞれの画面に違うコンテンツが流れたりします。
このような画面比率16:9を崩した連結方法は、既存の映像コンテンツの流用が困難になります。なので比率に合わせた映像制作が必要になります。自分でコンテンツ編集ができる場合は良いですが、流すコンテンツの変更頻度が高い場合はその都度映像編集が必要になります。
外部業者にコンテンツ制作を任されている場合は、その制作費用がかかります。運用コストが余計にかかってきますので、事前に理解しておきましょう。
縦置き横連結・横置き縦連結
状況によってはこのような特殊な連結をすることもあります。ただし、あまり使いやすい画面レイアウトではありません。
通常、横長の場合は画面を横にして連結していきますが、写真は画面を縦にして横に連結しています。画面の向きと連結方向を逆にした連結スタイルです。
その他特殊な連結方法
デザイン性を重視する場合は以下のようなレイアウトも可能です。
この場合はかなりコンテンツ制作も難しくなります。一般の広告媒体としては向いておらず、アート関係や施設の雰囲気作りとして利用するほうが適しています。
連結した画面にどうやって映像を流すのか?
次に連結した画面にどうやって映像を流すのか、システム的なお話をします。液晶マルチディスプレイは複数のディスプレイを連結したもので、それをひとつの画面として使用する場合と、分割映像を流すパターンでシステム構築が異なります。
①1つの映像を連結画面で大きく表示するのみ
1コンテンツのみを表示する場合は、1つの映像入力があれば対応できます。ディスプレイ本体にデイジーチェーン機能があれば、中継機は必要ありません。デイジーチェーン機能を持たないディスプレイでは、ディスプレイの台数に応じた出力のある映像分配器(HDMI分配器など)を使用します。例えば4つの画面を連結する場合は1入力4出力、9つの画面なら9出力を持つ映像分配器が必要です。
②映像を分割配信するのみ
写真のように大画面内に複数の映像を映したい場合には、基本的にマトリクススイッチャーやマルチビューワーという中継機を用います。マトリクススイッチャーとは、自分の好きな画面レイアウトで複数デバイスの画面を作ることができます。対してマルチビューワーは予め画面レイアウトが登録されているもので、その中から好きなレイアウトを選ぶものです。
画面レイアウトを固定してしまう場合は、中継機を接続せずにデバイスをそれぞれの画面に直結する方法もあります。ただし画面レイアウト変更が生じた際には、配線をやり直す必要があります。
③大画面映像を流したり、分割したりミックスしたい
マルチディスプレイの真髄ともいえるのがこの方法です。時には1つの大きな映像を、ある時には分割映像を…と切り替えすることです。この方法にも②と同じ、マトリクススイッチャーやマルチビューワーを使用します。画面の切り替えは、中継機の設定を変更することで簡単に行なえます。
まとめ
今回は複数の液晶ディスプレイを連結して大画面を作る方法をご紹介いたしました。連結方法は様々であること、どのような映像配信スタイルを取るかで使用する中継機が変わってくることがわかりました。
複雑な構成かと思いがちなマルチディスプレイですが、使ってみると案外簡単なのです。導入に対して不安なことが多いかもしれませんが、不明な点はいつでもお気軽にお問い合わせください。